○吹田市自治基本条例
平成18年10月11日条例第34号
吹田市自治基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 市民自治の基本理念及び市民自治の運営原則(第4条・第5条)
第3章 市民の権利、責務等(第6条―第8条)
第4章 議会(第9条―第11条)
第5章 市長及び市長以外の執行機関並びに職員の責務(第12条―第14条)
第6章 情報共有、情報公開等(第15条―第17条)
第7章 市民参画及び協働(第18条―第23条)
第8章 コミュニティの尊重等(第24条)
第9章 行政運営の原則(第25条―第29条)
第10章 市民自治推進委員会(第30条)
第11章 国及び大阪府その他の自治体との連携及び協力(第31条)
第12章 条例の見直し等(第32条・第33条)
附則
吹田市は、人類共通の願いである恒久平和を希求し、市民の健康と福祉の向上を基本として、個人の尊厳と自由が尊重され、安心して住み続けることができるまちの実現に向け、市民とともに市政を進めてきました。全国に先駆けて、循環型社会への移行を進め、子どもや高齢者を支える福祉を推進するとともに、コミュニティの振興を図り、都市文化を育んできました。こうした施策は、市民と市との信頼と協力があってこそ実現したものであり、また、市民の自主的な活動は、吹田のまちを築く大きな原動力となってきました。
本格的な地方分権の時代を迎えた今日、先人の英知とたゆまぬ努力により発展してきたこのまちを、だれもが安心していつまでも住み続けたくなるまちとして次世代に引き継いでいくために、今まで以上に市民及び市は、それぞれの役割と責任の下に、お互いに協力して市民自治を行うことが求められています。
そのために、市民は、市民自治の担い手であることを改めて自覚し、地域社会の課題の解決に向けて、自ら考え、行動するとともに、市政運営に主体的にかかわらなくてはなりません。
他方、市は、効果的かつ効率的な市政運営に努めるとともに、市民参画及び協働を推し進め、地方分権の時代にふさわしい独自の政策を掲げ、推進しなければなりません。そして、市は、すべての市民が誇りに思い、一人ひとりの人権が尊重される、真に自立した吹田市の実現を図らなければなりません。
ここに、市民及び市は、市民福祉の向上のため、市民自治の基本理念及び市民自治の運営原則を共有し、市民自治の確立をめざして、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市における市民自治の基本理念及び市民自治の運営原則を定め、市民、議会及び市長その他の執行機関のそれぞれの役割を明らかにするとともに、市民自治の運営原則に基づく制度等の基本を定めることにより、市民福祉の向上のため、市民自治の確立を図ることを目的とします。
(条例の位置付け等)
第2条 この条例は、本市における市民自治の基本を定める最高規範であり、他の条例、規則等の制定及び改廃に当たっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を図らなければなりません。
2 執行機関は、この条例の趣旨にのっとり、その事務に関する法令の解釈を自主的かつ適正に行うものとします。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。
(1) 市民 市内に住み、通勤し、若しくは通学する者又は市内に事業所を置き事業活動その他の活動を行う者若しくは団体をいいます。
(2) 参画 市民が政策等の立案、実施及び評価の過程に主体的に関わり、行動することをいいます。
(3) 協働 市民及び市が、共通の目的を実現するため、それぞれの役割と責任を自覚しながら、お互いの立場を尊重し、協力することをいいます。
(4) 執行機関 市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいいます。
(5) 市 議会及び執行機関をいいます。
第2章 市民自治の基本理念及び市民自治の運営原則
(市民自治の基本理念)
第4条 次に掲げることを市民自治の基本理念とします。
(1) 市民は、等しく尊重されること。
(2) 市民は、市民自治の担い手であることを自覚し、自らが地域のことを考え、自らの手で治めていくこと。
(3) 市は、国及び大阪府と、それぞれの役割分担の下に、対等の立場で相互協力の関係に立って、自律的な市政運営を図ること。
(市民自治の運営原則)
第5条 次に掲げることを市民自治の運営原則とします。
(1) 情報共有の原則 市民及び市は、市政に関する情報を共有すること。
(2) 市民参画の原則 市民は、自らの意思と責任の下に、市政に参画すること。
(3) 協働の原則 市民及び市は、相互理解と信頼関係を深め、協働すること。
第3章 市民の権利、責務等
(市民の権利)
第6条 市民は、次に掲げる権利を有します。
(1) 市政に関する情報を知ること。
(2) 市政に参画すること。
(市民の責務)
第7条 市民は、次に掲げる責務を有します。
(1) お互いを認め合い、市民自治を協働して推進するよう努めること。
(2) 市政に参画するに当たっては、自らの発言と行動に責任を持つこと。
(事業者の社会的責任)
第8条 市民としての事業者は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、地域社会との調和を図り、良好な都市文化の形成に寄与するよう努めなければなりません。
第4章 議会
(議会の役割及び権限)
第9条 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号)の定めるところにより、直接選挙を通じて選ばれた代表者である議員によって構成される意思決定機関であり、適正に行政運営が行われているかについて監視及び牽制をする役割を果たします。
2 議会は、地方自治法の定めるところにより、条例の制定及び改廃、予算の決定並びに決算の認定を議決する等の権限を有します。
(議会の責務)
第10条 議会は、開かれた議会運営のため、その保有する情報を市民に公開し、市民と共有しなければなりません。
(議員の責務)
第11条 議員は、市民自治の基本理念及び市民自治の運営原則に基づき、公正かつ誠実に職務を遂行しなければなりません。
2 議員は、議会活動に関する情報等について、市民に説明するよう努めるものとします。
第5章 市長及び市長以外の執行機関並びに職員の責務
(市長の責務)
第12条 市長は、市民自治の基本理念及び市民自治の運営原則に基づき、公正かつ誠実に職務を遂行しなければなりません。
2 市長は、その地位が選挙によって信託されたものであることを認識し、市民の意向を的確に行政に反映させ、市政の課題に適切に対処しなければなりません。
3 市長は、前項の目的を達成するため、職員を適切に指揮監督し、人材の育成に努めなければなりません。
(市長以外の執行機関の責務)
第13条 市長以外の執行機関は、その職責に応じて、自らの判断と責任においてその所管する職務を公正かつ誠実に執行するとともに、市長及び他の執行機関と協力して行政運営に当たらなければなりません。
(職員の責務)
第14条 職員は、市民の立場に立ち、創意工夫し、公正、誠実かつ効率的に職務の遂行に努めなければなりません。
2 職員は、職務の遂行に必要な知識、政策立案能力、法務能力等を身につけるよう努めなければなりません。
第6章 情報共有、情報公開等
(情報共有の推進)
第15条 執行機関は、市民参画及び協働の実効性を確保するため、市民との情報の共有に係る手法の整備を図らなければなりません。
(情報公開及び情報提供)
第16条 市は、市政に関して市民の知る権利を保障し、公正で透明な市政の実現を図るため、その保有する情報を公開しなければなりません。
2 市は、市民生活に必要な情報を市民にわかりやすく、かつ、適時に提供するよう努めなければなりません。
(個人情報の保護)
第17条 市は、その保有する個人情報の保護を図り、それを適正に管理しなければなりません。
第7章 市民参画及び協働
(市民参画の推進)
第18条 執行機関は、市民の参画する機会が保障されるよう、次条から第22条までに定めるもののほか、多様な市民参画制度の整備を図らなければなりません。
(審議会等への参画)
第19条 執行機関は、審議会等を設置する場合においては、原則として、その委員の全部又は一部を市民からの公募により選任しなければなりません。
2 執行機関は、審議会等の会議及び会議録を原則として公開しなければなりません。
(市民意見提出手続)
第20条 執行機関は、重要な条例の制定及び改廃、計画の策定等をしようとする場合は、その案を市民に公表し、それに対して市民から意見の提出を受け、その意見に対する考え方を公表するとともに、提出された市民の意見を考慮して意思決定を行わなければなりません。ただし、緊急を要する場合又は法令等に特別の定めがある場合は、この限りでありません。
2 前項に規定する意見の提出に関する手続その他必要な事項は、別に条例で定めます。
(住民投票の実施等)
第21条 市長は、市政の重要事項について、広く住民の意思を確認するため、その都度、条例で定めるところにより、住民投票を実施することができます。
2 市は、住民投票の結果を尊重しなければなりません。
3 第1項の条例においては、それぞれの事案に応じ、投票に付すべき事項、投票の手続、投票資格要件その他住民投票の実施に関し必要な事項を定めるものとします。
(住民投票に関する条例の制定請求)
第22条 本市において選挙権を有する者は、市政の重要事項について、地方自治法の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市長に対し、前条第1項の条例の制定を請求することができます。
(協働)
第23条 市民及び市は、相互理解と信頼関係に基づき、協働に取り組むよう努めるものとします。
2 市は、前項に規定する協働を推進するに当たり、市民の自発的な活動を支援するよう努めるものとします。この場合において、市の支援は、市民の自主性を損なうものであってはなりません。
第8章 コミュニティの尊重等
第24条 市民及び市は、暮らしやすい地域社会を築くため、コミュニティ(居住地域又は関心、目的等を共にすることで自主的に形成された集団又は組織をいいます。以下同じです。)の役割を尊重しなければなりません。
2 市は、コミュニティの自主性及び自立性を尊重し、その活動を支援するよう努めるものとします。
第9章 行政運営の原則
(総合計画)
第25条 市長は、市の最上位計画として、総合計画(行政運営の基本方針を示す基本構想並びにその実現を図るための基本計画及び実施計画により構成される計画をいいます。以下同じです。)を策定し、執行機関は、これに基づき、総合的かつ計画的な行政運営を行わなければなりません。
2 市長は、基本構想及び基本計画の策定に当たっては、広範な市民が参画できるよう努めるとともに、議会の議決を得なければなりません。これらの変更及び廃止をする場合も同様とします。
3 執行機関は、総合計画以外の計画の策定に当たっては、総合計画との整合性を図らなければなりません。
(組織編成等)
第26条 執行機関は、簡素で、市民にわかりやすく、社会情勢に柔軟に対応できる機能的な組織編成に努めなければなりません。
2 執行機関は、効果的かつ効率的な組織運営に努めなければなりません。
(財政運営)
第27条 市長は、総合計画に基づく政策目標を達成するため、財政計画を策定し、効果的かつ効率的な政策等の展開を図り、健全な財政運営に努めなければなりません。
2 市長は、財政運営の透明性を確保する観点から、市民にわかりやすい財務に関する資料について作成及び公表をしなければなりません。
(行政評価)
第28条 執行機関は、効果的かつ効率的な行政運営を行うため、政策等の目的を明確にし、その成果、達成度等について評価を行わなければなりません。
2 執行機関は、前項の評価の結果を事後の政策等に適切に反映させなければなりません。
3 執行機関は、第1項の評価の結果及び前項の規定により反映した結果を市民に公表しなければなりません。
(説明責任及び応答責任)
第29条 執行機関は、政策等の立案、実施及び評価の過程において、その経過、内容、効果等について市民にわかりやすく説明しなければなりません。
2 執行機関は、市民の市政に関する意見、要望、提案等に対して、迅速かつ誠実に応答しなければなりません。
第10章 市民自治推進委員会
第30条 本市に、市長の附属機関として、吹田市市民自治推進委員会(以下「委員会」といいます。)を置きます。
2 委員会は、市長の諮問に応じ、市民参画及び協働に関する重要事項を調査審議し、答申するものとします。
3 委員会は、市民参画及び協働に関する事項について、市長に意見を述べることができます。
4 委員会は、委員8人以内で組織します。
5 委員は、地方自治に関し識見を有する者及び市民のうちから市長が委嘱します。
6 委員の任期は、2年とします。ただし、1回に限り再任されることができます。
7 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。
8 前各項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。
第11章 国及び大阪府その他の自治体との連携及び協力
第31条 市は、共通する課題を解決するため、国及び大阪府その他の自治体と相互に連携し、協力するよう努めるものとします。
第12章 条例の見直し等
(条例の見直し)
第32条 市長は、この条例の施行の日から5年を超えない期間ごとに、この条例の各条項について検討を加え、その結果、見直しの必要があると認めるときは、必要な措置を講ずるものとします。
(委任)
第33条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定めます。
附 則
この条例は、平成19年1月1日から施行します。
附 則(平成25年3月29日条例第31号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(吹田市民の意見の提出に関する条例の一部改正)
2 吹田市民の意見の提出に関する条例(平成21年吹田市条例第5号)の一部を次のように改正する。
(以下省略)
(吹田市開発事業の手続等に関する条例の一部改正)
3 吹田市開発事業の手続等に関する条例(平成16年吹田市条例第13号)の一部を次のように改正する。
(以下省略)